
ストーリー概要
ジャンル | サスペンス・ホラー・百合 |
制作 | Ezo'la |
監督 | 草川啓造、長山延好 |
構成 | 待田堂子 |
デザイン | 安田祥子 |
音楽 | 亀山耕一郎 |
話数 | 全12話 |
声優 | 花澤香菜、久野美咲、花守みゆり、花江夏樹、洲崎綾、石川界人、etc. |
女子高生・松坂さとうは「愛」という感情を理解できず、男遊びを繰り返す虚しい生活を送っていたが、幼い少女・神戸しおと出会ったことで本当の「愛」を知る。さとうはしおに外に出ないよう言いつけ、二人きりの生活のためアルバイトに励む。しかし街には行方不明のしおを探すビラが貼られていた。 さとうにつきまとう教師・北埋川大地。ビラを見てしおに執着するようになった三星太陽。懸命にしおを探す実兄・神戸あさひ。「愛を偽らなければ何をしてもいい」と考えるさとうは、しおとの「ハッピーシュガーライフ」を守るためにあらゆる手段を講じていく。(引用:Wikipedia)
一言で表現するならこんなアニメ
戦慄の純愛サイコホラー
幸せそうなタイトルについつい騙されそうになりますが、本作は「サイコホラー」というジャンルに分類されるアニメなので注意。
主人公の「松坂さとう」は美人で人当たりが良いため、誰からも好かれる人気者的な存在です。
ただし、当の本人は「愛」という感情が欠如した人間であり、どれだけ男遊びを繰り返してもイマイチ満たされない生活を送っていました。
そんな彼女の前にある日現れたのが「神戸しお」と名乗る8歳の幼い少女。
同性、しかも自分よりはるかに年下の存在にもかかわらず、さとうはしおに対して愛が芽生え始めます。
やがて、さとうはしおを監禁に近い形で自分の部屋へと招き入れ、2人だけの甘い生活(ハッピーシュガーライフ)をスタート。
当然、そんな事(=監禁)が社会的に許されるはずもないのですが、さとうにとってはそんな事お構いなしです。
頭の中は常にしおの事だけ。
それ以外の人間はあくまで「その他大勢」でしかなく、ゆえに自分たちの生活を脅かす者は誰であろうと容赦しません。
脅迫や傷害、果てには殺人と目的のためなら手段を選ばずに淡々と遂行できてしまう彼女の姿はまさにホラーと言わざるを得ないでしょう。
本作の見どころ
マジで予測不可能な展開
本作の面白いところは、最初からバッドエンドが約束された状態にあるにもかかわらず、そこへ至る過程が全く予測できないという点にあるでしょう。
ハッピーシュガーライフは決してファンタジーではありません。我々と同じ法律が存在する現実の世界がベースになっています。
したがって、さとうの行為(監禁、傷害、殺人など)はどうあがいても許されません。
つまり、ハッピーエンドなど迎えられるはずがないのです。
しかしながら、さとうの芯の強さ、そして行動力はその原理すらも覆しそうな「力」を感じさせてくれます。
もちろん、現実にはそんな事不可能なわけですが、一体この状況をどう乗り切るのか、どうやって話をまとめるのか、さとうの取る行動がイチイチ気になって仕方ない作品でした。
基本的にやべぇ人しか出てこない
さとうの異常性は群を抜いていますが、それ以外の登場人物も基本的に変人ばかり。
異常なまでにドMな男性教師、イケメンなのになぜか幼女が好きなロリコン青年、頼めばヤらせてくれる不気味な女性など、どこかしら頭のネジが外れてしまっています。
彼らは時に敵として、時に協力者としてさとうの前に立ちはだかるわけですが、とにかく謎の行動が多く、それぞれの結末が気になるところでしたね。
主要キャラクターの紹介
松坂さとう(CV:花澤香菜)
本作の主人公であるピンク髪のヤンデレ美少女。
「愛のためならどんな事でも許される(たとえそれが法を犯すものであっても)」という歪んだ思想の持ち主で、実際に作中では誘拐、窃盗、傷害、脅迫、殺人など数々の犯罪行為をやってのけます。
可愛いらしいルックスとは真逆とも言える行動のギャップこそ、本作における最大の見どころでしょう。
また、花澤香菜さんの透き通ったボイスから淡々と紡がれる狂気に満ちたメッセージの数々は必聴です。
神戸しお(CV:久野美咲)
本作における準主人公。
年相応に無知で純粋な部分もありつつ、一方では愛がどういうものなのかについて持論があるなど何かと底知れぬ幼女でした。
「これぞ久野美咲!」といった感じのロリボイスでとても可愛い女の子ですね。
基本的に家の中にいるので活躍が少ない回も多いですが、さとうの心が折れそうになった時は大抵支えになってくれます。
飛騨しょうこ(CV:洲崎綾)
さとうの友人でバイト仲間。
変人ばかりの登場人物の中では唯一と言っても過言ではない常識人で、さとうの異常な行動を目の当たりにしてもなお向き合おうと努力してくれます。
友人という都合の良いポジションゆえに損な役回りをさせられる事も多いですが、彼女の動向は物語を進める上で非常に重要なので注目です。
三星太陽(CV:花江夏樹)
さとうのバイト仲間で、おそらく彼女によって最も大きく人生を狂わされてしまった人間のうちの1人。
見ての通り容姿端麗で女性からもモテますが、しおとの出会いをキッカケにロリコンを発病し、以後は残念なイケメンとしてのポジションを確立していきます。
部屋の壁一面にしおの写真を貼り付けていたり、しおの靴下の匂いを嗅いで欲情したり、アホらしいシーンも多かったです(笑)
花江夏樹さんの熱演も相まって、かなり気持ち悪いキャラ(褒め言葉)でしたね。
北埋川大地(CV:石川界人)
さとうが通う高校の数学教師。
より多くの女性から愛されたいという性癖の持ち主で、さとうもその対象の1人でしたが、逆に彼女から「自分に酔っているだけ」と見透かされた事でドMに目覚めます。
以後は「さとうの協力者」という形で何かと登場しますが、やはり彼女にとっては単なる駒に過ぎず、散々な扱われようでした。
さとうの叔母(CV:井上喜久子)
両親を亡くしたさとうの保護者にあたる女性で、本名は不明。
さとうの人格形成において大きな影響を与えた人物で、彼女の異常性は主にこの人が原因と思われます。
他人の欲望を全て「愛」として受け止めることに喜びを感じている異常な性的趣向の持ち主で、それがたとえ暴力や性行為であったとしても構わない様子。
実際、そういった事を通じて生計を立てているような描写もあり、何か不気味で妖艶な雰囲気を持つ人物でした。
CV:井上喜久子さんという事もそれっぽさを加速させていると思います。
総評
前述のように、この作品は最初からバッドエンドである事が決まっています。
主人公であるさとうは「犯罪」という取り返しのつかない事を平然とやってしまっているわけですから、どうしたって救いの道は考えられません。
それゆえ「話の広がり」という点においては正直あまり期待できないアニメと言えるでしょう。
どんな結末になるのかを最初にある程度理解した上で、それでもなおそこへ至るまでの過程を楽しめるという方向けの作品ですね。
実際、各登場人物の異常な行動は見ていて飽きませんし、時には度肝を抜かれます。
所々ではハチャメチャな展開が繰り広げられるものの、全体としては「純愛」というテーマがしっかりと貫かれている点が個人的には高評価。
これまで愛を知らなかった人間が突然愛に目覚め、以後はそれに生きる事を決めたとすればこんな話にもなるのも仕方ないのかなと。
主人公のさとうは客観的に見ればどこまでも身勝手ですし、最後までその姿勢は変わりません。
下手に改心したりする事も無く最後まで一貫して狂っていたのが良かったですね。
愛のために人はここまで動けるのだと、フィクションながら妙な感動と恐怖を覚えました。
胸糞悪い描写もかなり多いため、好き嫌いが分かれる作品ではありますが、僕は割と好きです。
百合が好きな方やヤンデレが好きな方にはかなりおすすめ。
めちゃくちゃ面白いというわけではありませんが、暇つぶしに見る分にはそこそこ楽しめるはずです。
まとめ
以上、アニメ『ハッピーシュガーライフ』ついて個人的な感想および評価を述べさせていただきました。
可愛い女の子のサイコパスな行動を楽しみたいという方にはぜひおすすめしたい作品ですね。頭がおかしい人たちによるドタバタ劇が見れます。
少しでも参考になりますように。