
エンジニア転職を目指すプログラミング学習者の間で広く活用されるようになっているWantedly。
掲載費用が安い事からベンチャーやスタートアップなどの求人も多く、大手求人サイトでは見かけないような企業の情報まで手に入れる事ができるほか、自社開発や受託開発といった人気の業態もそれなりにあるため、いわゆる「モダンな開発環境」で働きたいという方は最優先でチェックすべき媒体の一つと言えるでしょう。
しかし、近頃では某テック系インフルエンサーたちの影響からか、同じ目的で利用する人が増え過ぎてしまったため、特に実務未経験の状態からWantedly経由で転職するのは難しくなりつつあるといった見方もあります。
実際、僕自身も2020年1月~3月までWantedlyを主軸に就職活動を行ってきたわけですが、何かと苦戦する事が多々ありました。
就活を開始した当初は「良い感じのポートフォリオさえ作れば普通に内定もらえるやろ」と舐め腐った態度を取っていた僕ですが、そんな幻想は見事に打ち砕かれてしまったので、今回は実際にWantedlyを活用して思った事などを正直に書いていきたいと思います。
実際にWantedlyを使ってみた感想
見かけよりも選択肢は少ない
Wantedlyでぼちぼち求人情報を探し始めてまず思ったのがこちら。あらかじめ想定したよりもずっと選択肢が少ない…。
たとえば、こちらは「エンジニアリング」「中途採用」「Ruby」といった条件で絞り出てきた数字です。
「4772件」と非常に多くの情報が載っているようにも思えますが、実は同じ企業が何度も繰り返し投稿しているといったケースも多いため、重複分を除くとエントリーできそうなところは意外と少なかったりします。
実際にページをめくっていくとわかりますが、後ろへ行くにつれて「この会社、前にも見かけたな…」というパターンに何度も遭遇するはず。
初見の場合、たくさん選択肢があるように思えて油断してしまいがちなのですが(僕もそうでした)、現実はそうでもないので注意が必要です。
狭いリングの中で大勢が戦っているという自覚を持たないと、ライバルたちに先を越されてしまいかねません。
具体的にどれくらいの選択肢があるか、その時のタイミングなどによっても変わると思うのでハッキリとは言えませんが、2ヶ月間ほぼ毎日Wantedlyに張り付いていた僕が最終的にエントリーした数は30件弱だったので、それほど多くない事だけは間違いないでしょう。
返信無しは当たり前
Wantedly経由でエントリーするのってめちゃくちゃ簡単ですよね。
プロフィール文をある程度しっかり作り込んだ後は、各募集ページの右上にある「話を聞きに行きたい」ボタンを押せば即座にエントリー完了。
他の媒体を使う場合、募集ごとに履歴書や職務経歴書などを逐一作成しなければいけない事も多いですが、Wantedlyはそういった手間がほとんどかかりません。
実際、このハードルの低さも人気の理由の一つなのでしょうが、手軽すぎるがゆえに企業側からの返信率も低めという点には注意が必要です。
特に最近のWantedlyはレッドオーシャンとでも呼ぶべき状況で、エンジニア転職を狙う方たちが手当たり次第にエントリーしていたりするため、どの募集ページを見ても100~300エントリーが普通だったりします。
採用担当の方も暇ではないでしょうから、そんな大量のエントリーを全て捌けるはずもなく、必然的に返信を送る相手は限られてしまうというわけですね。
参考までに、自分がWantedly経由で就活を行った際の戦績はこんな感じ。
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合計34件のエントリーを行ったところ、何かしらのリアクションをいただけたのはたった14件でした。返信率にすると大体4割程度で、半分以上は何の音沙汰も無し。
また、仮に返信が来たとしても全てが選考へ進むための案内というわけではなく、お祈りメールだったりする事もザラなので油断はできません。
結局、僕が選考まで進めたのは7件でしたね。
未経験者だった事も返信率の低さに影響していたとは思いますが、
- そこそこの学歴(MARCH以上)
- Wantedlyのプロフィール欄を文字数ギリギリまで充実させる
- 今時の技術を盛り込んだ良質なポートフォリオを作成する
など他のライバルたちと極力差別化を図る努力をしたにもかかわらずこの結果だったので、単純にそれだけ厳しい戦場でもあるという事でしょう。
未経験者がWantedlyで内定を獲得するには?
ここまでの内容で、2020年3月現在におけるWantedlyの就活事情がだいぶ厳しいものである事はお分かりいただけたと思いますが、依然として未経験者にとってWantedlyが強力なツールであり続ける事は間違いないと思います。
他に代替案を挙げろと言われれば正直返答に困りますし、実際に僕も未経験の状態からWandely経由で2社ほど内定をいただく事ができました。
しかしながら、状況は刻一刻と変わりつつあるため、今までのようなゴリ押しエントリー戦法のままで通用するとは言い難いのが現実でしょう。
そこで、ここからは最新の環境下で就活を行った自分だからこそわかる今後の対策方法について考えてみたいと思います。
プロフィール文を工夫する
わざわざ言うまでもないでしょうが、Wantedlyでエントリーを行う場合、プロフィール文はしっかりと埋めるようにしてください。
先ほども少し触れたように、Wanteldyではエントリーの際に履歴書や職務経歴書の提出が不要となっていますが、プロフィール文がそれらの代わりになっていると考えましょう。2000文字の制限があるため、なるべくギリギリまで書く事をおすすめします。
たまに空欄だったり極端に文字数が少なかったりする応募者もいるようですが(実際に面接官から聞いた話)、どう考えても論外です。
履歴書や職務経歴書は無し、プロフィールも良く分からず…。そんな人にまともな返信なんて来るはずがありません。
何を書くかはその人次第ですが、自分の場合は
- 自己紹介
- これまでの経歴
- エンジニアを目指す理由
- どのように学習を進めてきたか
- 具体的なキャリアビジョン
などを文字制限いっぱいに細かく書きました。
ちなみに、「Wantedly プロフィール テンプレート」などで検索をかけると、それらしいものがたくさん出てくると思いますが、ああいったものはあまり参考にしすぎない方が良いかなと個人的には考えています。
というのも、ただですら飽和している環境で他のライバルたちと同じような構成の文章を書いても、採用側には「またテンプレみたいな内容が来たよ」と読み飛ばされてしまう可能性が高いからです。
wantedlyのプロフィールにこの記事そのまま書いてる人がすごく多くて、参考にしすぎると逆に読まれづらくなってると思う / 1件のコメント https://t.co/Hc4Y9pAy2p “Wantedlyのプロフィールの書き方・テンプレートを公開します【返信率3倍】|シューヘードットコム” (1 user) https://t.co/SrWn0Ttuv2
— 池田朋大 (@mikeda) March 5, 2020
まぁ、だからといって奇抜な事を書けと言っているわけではありませんが、全部が全部テンプレに沿った書き方をしてしまうとどうしても熱量に欠けた内容になってしまいがちなので、自分が企業側に対して伝えたい事をいくつかの見出しに分けて正直に書いてみるのも良いのではないかなと。
あと、人間は根本的に文章を読まない生き物です。それは採用担当者の方も同じで、読み始めの時点で「つまらなそうな文章」と思われたらそこで読むのを終えてしまうかもしれません。
そのため、どうしてもこれだけは伝えたいという内容はできるだけ上の方に書いておくと良いでしょう。
たとえば、僕の例で言うと、プロフィール文の一番上には以下のような文言を入れておきました。
実務経験は今のところゼロなので、まずはインターンやアルバイトからの採用といった形でも喜んで受け入れる覚悟であります。
今のところポテンシャルで判断していただくしか手段が無く、お手数ですが最後まで紹介文を読んでいただけると幸いです。
- 実務経験が無い事を真っ先に明示する事で、企業側とのミスマッチを早い段階で防ぐ
- インターンやアルバイトからのスタートでも構わないと伝える事で、ハードルをやや下げる
- ポテンシャルを匂わせる事で、なるべく最後まで文章を読んでもらうようにする
こういった狙いが上手くいっていたかどうかは不明ですが、先述のように全体の4割程度の返信はいただけたので、やはりプロフィール文を工夫するというのは非常に有効で真っ先に行うべき対象だと思います。
良質なポートフォリオを作る
どれだけ立派なプロフィール文を書いたところで、肝心の技術が伴っていなければ何の意味もありません。
主張の根拠を強めるためにも、良質なポートフォリオを作成するというのは必要不可欠です。
たまに「ポートフォリオはそこまで作り込まなくても良い。」と言っている方もいますが、僕は絶対にこだわりを持って作った方が良いと考えています。
もちろん、その言葉の裏には「あまり時間をかけすぎるのは良くない」「面接対策の方が重要」など何かしらの意味合いが込められているとは思うのですが、これだけ未経験者が飽和している市場となれば、少しでも差別化を図るための努力をすべきであり、ぱっと見でそれがわかるのはやはりポートフォリオ以外にないでしょう。
やや曖昧になってしまいがちな面接と違い、各々の差が明確に出る部分なので、ここを手抜きする理由は何もありません。
なお、ポートフォリオの出来が良いからといって必ずしも高評価をもらえるとは限りませんが、逆にポートフォリオの質が低いという理由で採用を見送られてしまうという事は普通にあり得ます。
実際、僕は自分と同じような未経験者が集まるミートアップやイベントに参加した事があるのですが、「Railsチュートリアルで作ったアプリに毛が生えたようなポートフォリオを持っていったらボロクソにダメ出しされた…」と嘆いている方も結構いました。
僕からすれば「いや、そんなもん持ってくなよ…」って感じなのですが、現実には意外とそういう人も多いみたいなので、しっかりと自分の頭で考え抜いて作ったオリジナリティの高いポートフォリオを持参すればそれだけで差別化を図れると思います。
参考までに、僕が作ったポートフォリオはこんな感じでした。
ずばり、ラーメンのレビューサイトですね。特段珍しい機能が付いているわけではないのですが、その分基本に忠実でこれまでに学んだ事の総まとめといった感じのアウトプットになっています。
このポートフォリオの何が評価されたのかというと、とにかく「運用」を意識した作りになっている点です。
僕は就職活動を行う中で他のライバルたちが作ったポートフォリオを見る機会が割とあったのですが、その多くが「ただ単に見せるためだけに作りました」と言わんばかりのポートフォリオだったんですよね。
「つぶやきを投稿できるようにして、ログイン機能やユーザー同士のフォロー機能も実装しました!………。」
えっ、それで終わり!?みたいな。まさに先ほど挙げた「Railsチュートリアルに毛が生えたようなポートフォリオ」です。
別にそれが悪いとは言いませんが、ただですら僕たちは「未経験」という圧倒的なハンデを背負ってるんです。そんな中、誰でも教材通りに手を動かしていれば作れるようなものを提出して高評価をもらえるわけがないでしょう。
実際、僕が訪れたとある企業の面接官が「毎日のようにメルカリやインスタグラムを模倣した同じアプリが送られてきてもうウンザリしている…」と言っていたのはかなり印象的でした。
エンジニアとして働く以上、サービスを作って終わりではなく、その先ずっと運用していく事も視野に入れる必要があります。
その事がしっかり頭に入っていれば、つぶやき機能だのログイン機能だのフォロー機能だのだけで満足する事は絶対に無いはずなんですよね。
たとえば、
- Adminユーザーだけがアクセスできる管理画面
- ユーザーの悪戯登録を防ぐためのメールアクティベーション機能
- サイトマップ、メタタグ、パンくずリストなどを用いたSEO対策
- DoS攻撃などに備えたセキュリティ対策
- 万が一例外が発生した場合の通知機能(Slackへ送信)
- 各種APIを利用した便利機能(ソーシャルログインやGoogleマップなど)
など、ほんの一例ですが、一つのサービスを実際に運用しようと思ったら、他にやらなければならない事はたくさん思いつくはずです。
表面的な部分を飾るだけなら、誰でもある程度はできるでしょう。ですが、何度も言うように、すでにレッドオーシャンとなりつつあるWantedlyにおいて、皆がやっているのと同じ事をしたのでは意味がありません。
であるならば、皆が疎かにしがちな裏の部分「=運用面」を徹底的に充実させる事こそが差別化につながるのではないか。
そういった考えのもと、僕はこのポートフォリオを作成しました。
実際、ただ作るだけでなくその先の運用まで重視した姿勢はどの面接においても褒められましたし、内定をいただく上でかなり有力な判断材料になったのではないかなと今では思います。
面接においては「なぜこのポートフォリオを作ったのか?」という部分まで深く突っ込まれて聞かれる事が多いので、適当に作るのではなく、何かしらの強いコンセプトを持って臨んだ方が良いでしょう。
僕の場合はそれが「運用」という視点持つ事だったという話です。
まずありえない話ではありますが、もし仮にポートフォリオを見せた際「これめっちゃ良いですね!ぜひとも弊社でリリースしましょう!」と言われた場合でも即OKできるくらいの状態にはしてあるつもりです。
あとは、実際に志望する企業が採用している技術一覧をしっかり見ておく事も重要ですね、求人情報を見ると、大体の企業では下記のような感じで使用技術一覧が書いてあります。
【使用技術】
開発言語:Ruby、PHP
サーバーサイドフレームワーク:Ruby on Rails、Laravel
フロントエンド:Vue.js
インフラ:AWS(ECS、Aurora、CloudWatch、S3)
データベース・データストア:MySQL、Redis、Elasticsearch、BigQuery
テスティングフレームワーク:Rspec
CI/CD:CircleCI
タスク管理:Backlog、Waffle.io
社内コミュニケーション:Slack、Trello
これを参考に、自分のポートフォリオへ導入できる技術があればそれを取り入れる事で、企業に対する強いアピールになるでしょう。
私見ですが、いわゆる「モダンな開発環境」の企業を目指す場合、
- Git-flowに沿った開発(issueを確認 -> branchを切る -> 開発を行う -> pushする -> pull requestを送信する -> mergeする)
- Rspecを用いたテスト
- 自動ビルド&自動デプロイ(CircleCI)
- コードの品質チェック(rubocop、rails_best_practices、bullet)
- デプロイ先はHerokuではなくAWS
- Docker環境の構築
などをしっかりやっておけば、未経験者の中でもズバ抜けた印象を与える事ができると思います。実際、これらは別に実務経験が無くとも独学で何とかなるはずなので、言い訳せずに頑張りましょう。
中でも、Git-flowに沿った開発は個人的に結構評価された気がします。ただソースコードをアップするのではなく、GitHub上の機能(Issues、Pull requests、Projects)もしっかり活用し、疑似的なチーム開発を再現するなど一手間かけた工夫が見られるとその辺もだいぶ他と差別化できるかなと。
ベンチャーやスタートアップの場合、人手不足からいちいち新人に対して一から指導するというのは現実的ではないので、こういった今時の技術を教えられなくても自分一人できますよとアピールできると、「こいつは即戦力になってくれるかも」と好印象を与えられるはず。
毎日欠かさずWantedlyをチェックする
現状のWantedlyを言い表すと、少ないパイを大勢で奪い合っている状態に他なりません。先ほども言ったように、実はそれほど多くない求人情報に対し、何としてでもエンジニアになりたい未経験者はゴロゴロといるわけです。
となれば、良いと思った求人情報に対してはいち早くエントリーしていく必要がありますよね。
自分にとって望ましい企業の募集がいつスタートするかはわからないので、暇さえあれば新着情報をチェックしていくくらいの気概が無ければ勝ち抜いていくのは厳しいでしょう。
かなり単純ですが、少しでも確率を上げるためには有効な手段だと僕は思います。
まとめ
長々となってしまいましたが、そろそろまとめます。
結論として、今現在(2020年3月)においてWantedlyが未経験者にとっての激戦区となっている事は疑いようの無い事実です。
実際、僕も就活開始から内定をいただくまでに2ヵ月ほどかかりましたし、やや理不尽な扱いも受けてそれなりに苦労しました。
とはいえ、そんな熾烈な環境であっても勝機はあると思います。事実、僕も最終的にはWantedly経由で2社ほど内定をいただく事ができました。
ただ、巷で言われているほど(某テック系インフルエンサーの方々)順風満帆にいくものではありませんし、レッドオーシャンの中で勝ち抜いていくには他と差別化するための工夫がそれなりに必要になってきます。
「プロフィールも埋めたし、ポートフォリオも作った。なのになぜか選考までたどり着けない…。」
そんな方がいらっしゃったら、今一度自分の戦略を見直してみてください。
同じレベルの志望者はそれこそ大量にいるので、そんな中、あなたでなければダメな理由を何かしら見つけてもらえるよう努力しましょう。
- 2020年現在、Wantedlyは未経験者にとってかなりの激戦区。巷で言われているほど楽ではないので幻想を抱かない方が良い。
- 可能性が無いわけではないが、無数に存在する未経験者の中からわざわざ自分を選んでもらうための差別化戦略が必要。
- ただ闇雲にエントリーすればいつか当たるという時代は完全に終わっているため、しっかりと準備してから就活に臨むべし。
特にこれと言って劇的な効果のある裏技があるというわけではないものの、非常に競争率が高い環境の中で戦っている事をしっかりと自覚し、どうすれば他のライバルたちと差別化を図る事ができるか常に考え続けて動けば必ずどこかで成果は出るのではないかなと。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。